皆さん、オ~ラ~、カタマールです!
勝手に立ち上げましたスペイン2部リーグを応援する企画「セグンダ応援隊」
セグンダ全22クラブの紹介も今回で6クラブ目です。
今回はここ10年で大きく躍進し、すっかりセグンダに定着したCDミランデスです。
今回も下記のポイントに注目して見ていきましょう。
①クラブデータ
②注目の選手
③合わせてチェックしたい街の観光ポイント
④絶対食べたい地元グルメ
①クラブデータ
📸 ¡LOS NUESTROS!
🔴⚫️ #AúpaMirandés #MirandésGirona pic.twitter.com/yNLh60jMTS
— CDMirandés (@CDMirandes) October 21, 2021
正式名称 : クルブ・デポルティーボ・ミランデス(Club Deportivo Mirandés)
ホームタウン:カスティージャ・イ・レオン州ブルゴス県バジェ・デル・エブロ地域ミランダ・デ・エブロ
創設年:1927年
チームカラー:赤と黒
ホームスタジアム:エスタディオ・デ・アンドゥーバ(5759人収容)
2020-21シーズン成績:プリメラ10位
現クラブの前身時代も含めれば100年以上の歴史があるミランデスですが、セグンダ初昇格は2011-12シーズンとちょうど今から10年前。創設からセグンダB(実質3部)とテルセラ(実質4部)で過ごしてきたクラブがここから大躍進を始めます。まずはセグンダ昇格を決めたシーズンに国王杯で巻き起こした「ミランデス旋風」プリメラのクラブを3つ破り、準決勝に進出!セグンダBのチームとしては史上2つ目の快挙でした。セグンダ昇格後、一度降格を味わうもここ10年でしっかり「セグンダのクラブ」というイメージをスペイン全土で獲得。また、その間に国王杯では準々決勝1回、準決勝1回進出とジャイアントキラーぶりを発揮しています。
近年の大躍進を支えるクラブ戦略
セグンダ初昇格まで地域リーグやセグンダBが主戦場だったミランデス。ここ10年の大躍進の要因は大胆で明快なクラブの戦略にあると言います。スカウティングと分析を専門とし、クラブの内情に精通したスペイン人記者アレックス・ヘスト氏(@GestoFoot)は「ミランデス・モデル(El Modelo Mirandés)」と呼び、次のように解説しています。
EL MODELO MIRANDÉS
El equipo rojillo se ha convertido en un escaparate fantástico para los grandes futbolistas jóvenes de España.
¿Casualidad o modelo? ¿Es cuestión de fortuna o hay un porqué de detrás?
En este hilo hablaremos de cómo funciona y de los porqués de su éxito. pic.twitter.com/31uluA0saQ
— Álex Gesto (@GestoFoot) September 17, 2021
・地域リーグの1クラブからセグンダへ
2012年にセグンダ初昇格を成し遂げたミランデスですが、地域リーグやセグンダBのクラブが完全なプロクラブとして、ラ・リーガを戦うための道のりは易しいものではありません。大きな要素となる金銭面をクリアできた要因がミランデスの本拠地「ミランダ・デ・エブロ」という町です。カスティージャ・イ・レオン州の北東に位置する人口たった3万人強の町ながら、バスク州とラ・リオハ州に隣接する地理条件を生かし、工業とロジスティックの面に優れた都市に発展しました。この点がクラブの運営と昇格に大きく貢献したとヘスト氏は分析しています。
・ミランデス・モデルとセグンダでの成功
🏁CHEMA ARAGON RENUEVA CON EL MIRANDES🏁
📰 Noticia muy esperada y celebrada en Miranda la renovación del Director Deportivo para las 2 próximas temporadas.
📝 Artifice de la renovación casi total de la plantilla del Mirandes las últimas 3 campañas, con resultados positivos. pic.twitter.com/SM7TNOo4b1
— Todo Futbol Burgos (@Todo_futbol_Bur) March 12, 2021
セグンダで戦う地盤を固めたとはいえ、限られた予算でチーム編成をしていたクラブに転機が訪れたのは2018年。前年に再びセグンダBへ降格してしまったミランデスのスポーツディレクター(強化部長)に移籍市場に精通したチェマ・アラゴン氏(Chema Aragón)が就任しました。彼は「はっきりとした方針の下、クラブ財政状況を考慮しながら持てるソースを存分に使う」その中で「リスクを負い、セグンダでの経験がない若い才能も積極的に活用する」という方針を打ち出し、ヘスト氏が呼ぶ「ミランデス・モデル」を構築しました。
2018-19シーズン。若い才能たちを中心とするチーム編成において、カギとなったのがお隣バスク州のクラブ、アスレティック・ビルバオとレアル・ソシエダ育ちの優秀な若手選手でした。その地理条件から昔から多くの選手がミランデスでプレーしていました。アラゴン氏就任初年度、セグンダ復帰を目指し新監督に33歳の新鋭ボルハ・ヒメネスを招聘。そして13人の選手を獲得しましたが、全員がフリー、もしくはレンタル移籍。さらに、そのうち5人が23歳以下の選手でした。このシーズン、見事にセグンダ復帰を果たします。
2019-20シーズン。セグンダ復帰の翌年は退団したボルハ・ヒメネス監督の後任に元アスレティックのDF、そしてキプロスでプロ監督を経験したばかりのアンドニ・イラオラ(現ラージョ)を招聘。選手獲得に使用できる資金も増え、ビッグクラブで出場機会を得られていない若い才能を中心に13選手を獲得しました。ここでもフリーとレンタル移籍のみで、うち7人が23歳以下の選手でした。気になる結果はリーガ11位、さらに国王杯で準決勝進出という快挙を達成した歴史的な年となりました。
El Mirandés en la Copa del Rey:
2011/12 – Semifinales
2015/16 – Cuartos de final
2019/20 – Semifinales*¡Qué mérito, @CDMirandes! 👏🏼 pic.twitter.com/K1dztB3yfk
— Sphera Sports (@SpheraSports) February 5, 2020
2020-21シーズン。イラオラ監督はラージョに移籍し、後任には昨季途中までスポルティングを率いていたホセ・アルベルト・ロペス。こちらも38歳の若手監督です。選手獲得も「ミランデス・モデル」は進み、19人の新加入選手のうち23歳以下はなんと15人。ほぼU-23のチームでセグンダを戦いました。結果は11位とセグンダ復帰後に改めて地盤を固めた印象のシーズンでした。
今シーズン。三度交代となった監督の席にサラマンカを2部B残留に導いたロロ・エスコバルを招聘。セグンダで経験のない監督を新たに登用です。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、クラブの身の丈に合った「ミランデス・モデル」は被害を最小限に食い止め、ピッチでもしっかりと結果を残しています。また、数々のレンタル加入の選手が大きく成長し、スペイン全土のクラブが「ミランデスに有望な若手選手を預ける」構図が確立され、国内のビッグクラブだけでなくリバプールやユベントスの国外からもレンタル加入する選手も。ミランデスはスペイン屈指の「若手選手のショーケース」となっているのです。
限られた資金でも、優れたスカウティングと交渉術で有望なタレントをフリー、もしくはレンタルで獲得。リスクはあるが積極的に経験を積ませる分、選手は成長し、それによってチームも好成績を挙げる。さらにその成功を見たビッグクラブが有望な選手を預ける。といった好循環を生み出しているミランデス。資金の少ないスペインのクラブにとってお手本のようなモデルですね。
②注目選手
ダイヤの原石がゴロゴロしているミランデスは選出が非常に難しいのですが2選手に絞ってみました。
①MFイニゴ・ビセンテ(Iñigo Vicente)
Esto es anduva!!!🔟⚽️ pic.twitter.com/uEVMLaK7KM
— iñigo vicente (@ivicente9) August 23, 2021
名門アスレティックの下部組織出身の23歳。トップチーム昇格を念頭に置いて2019-20シーズンにミランデスへレンタル移籍。主力として公式戦36試合5ゴール8アシストと活躍し、すぐさま翌年はアスレティックのトップチーム入りを果たすもリーガ3試合出場とプリメラの壁はまだ高く。今季はミランデスへ再加入となりました。10番を背負い、ここまで12試合5得点2アシストと好調を維持しています。ポジションは右利きながら左サイドハーフ。正確かつ強力な右足が武器で、左サイドのカットインから右足でのシュートは彼の十八番です。昨シーズンの成績:3試合0ゴール0アシスト(アスレティック)
②FWセルヒオ・カメージョ(Sergio Camello)
Muy feliz e ilusionado con mi nuevo reto @CDMirandes ⚫️🔴 #AúpaMirandés 👏 pic.twitter.com/znhbwqWfor
— Sergio camello 9 (@9Camello) August 31, 2021
こちらも名門アトレティコ育ちのタレント。2018-19シーズン最終節に18歳の若さでトップチームデビューし、ゴールまで決めたカメージョ。ただ、その後はアトレティコの分厚い攻撃陣に出場機会を阻まれ、2シーズンはセグンダB(実質3部)のBチームのエースとして活躍します。同僚のMFギジェルモ・リケルメと共に今季は一つ上のセグンダに初挑戦。12節を終えた時点で9試合3ゴール2アシストと上々のスタートを切っています。ゴールへの嗅覚に優れたストライカーで、エリア内のポジショニングセンスとシュート技術にとても秀でています。昨シーズンの成績:2試合0ゴール0アシスト(アトレティコ)、23試合5ゴール0アシスト(アトレティコB)
③合わせてチェックしたい街の観光ポイント
ミランダ・デ・エブロってどこにあるの?
ミランダ・デ・エブロはスペイン北部カスティージャ・イ・レオン州の東に位置し、バスク州とラ・リオハ州との州境にあります。人口は約3.5万人の小さな町ですが、その地理的条件を生かし多くの企業が在籍する工業団地が形成され、この地域の産業の中心地となっています。
ミランダ・デ・エブロへのアクセス方法
アクセスにはスペイン国鉄レンフェ(Renfe)が便利です。マドリードからは特急アルビア(ALVIA)で3.5時間。毎日3~4本の運行があります。またバルセロナなら同じくアルビアで5.5時間、こちらも毎日3~4本の運行があります。そして時間があれば近郊列車で20分のところにあるバスク州ビトーリアと合わせて訪れてもよいかもしれません。あのアラベスの本拠地ですね。
ミランダ・デ・エブロってどんな町?
非常に小さな町で観光面で見るべきスポットは少ないかもしれません。。。ですので、サッカー観戦でここを訪れる際は、近隣のバスク州やラ・リオハ州と組み合わせて行くのがおすすめです。アラベスがあるビトーリアなら電車で20分、ビルバオやパンプローナには1.5時間で行けますよ。
おすすめの観光ポイント
中世ヨーロッパ14世紀に完成したお城の城壁部分が今も残っており、のどかな町全体が見渡せるスポットです。またエブロ川にかかるカルロス3世の橋(Puente de Carlos III)もちょっとしたフォトスポットです。
④絶対食べたい地元グルメ
デルガディージャ(Delgadilla)
スペイン料理「モルシージャ(Morcilla)」によく似た一品。まずモルシージャとはブタの血を用いて作られるブラッドソーセージの一つで、ブタの血にお米やみじん切りにしたタマネギ、肉、ハーブ、スパイス類などを合わせて腸詰したものです。ただデルガディージャは具にはお米、豚や牛の代わりに羊の腸を使用してモルシージャより細長いのが特徴。少し辛めのトマトソースと煮込むのがポピュラーな食べ方です。お隣ラ・リオハ州のアロという町が起源とされていますが、このミランダ・デ・エブロのデルガディージャもとても有名です。
まとめ
・ここで10年で大躍進!セグンダの常連チームとなったミランデス!
・成功の秘訣は「ミランデス・モデル」フリーやレンタルで獲得したダイヤの原石を磨く「セグンダ屈指の若手タレントのショーケース」
・お隣はもうバスク州。アラベスの本拠地ビトーリアは電車で20分。ぜひバスク観光と合わせてどうぞ。